危険を承知で組体操を行うねらいや、やる理由は?怪我した際の責任はどこにある?

秋の運動会シーズンを前に、神戸市長の組体操に関するツイートが話題になっています。

組体操の練習中に、骨折などの事故が起きているにも関わらず、事故の危険性が高い演目(ピラミッドやタワー)の実施を取り止めようとしない学校側へ、辞める勇気を持ちましょう、という呼びかけです。

市長の呼びかけには、法的な拘束力や強制力はなく、学校側の判断に委ねられるとの事ですが、、、

事故の話しを聞いても、危険性な演目の実施をとりやめない学校があるそうです。

ピラミッドや、タワーなどの危険性の高い組み体操をそれでも行おうとする学校側には、ねらいや特別な理由があるのでしょうか?

また、組体操の危険性が叫ばれている現状で、もし事故が起きた場合、怪我した際の責任はどちらにあると言えるのでしょうか?考えてみました。

目次

事故の事を把握しながらも危険な組み体操を行うねらいや、やる理由とは?

学校側が、難易度の高い危険性のあるピラミッドやタワー等の組み体操を実施する理由として考えられるのは、

『生徒の成長や成功体験を得る為』

だと言えます。

生徒同士で、難易度の高い演目に挑戦する事で、一致団結する大切さや、生徒間での達成感や、連帯感を生み出そうという狙いがあるのでしょう。

また、そのような様子を保護者に見せる事で、感動を生み出そうという意図も有していると言えます。

しかし、実際に中学3年の子を持つ親の気持ちとしては、骨折者も出るような危険な演目を、自分の子供がやると考えると、不安な気持ちの方が大きいです^^;

怪我の心配が限りなく低いのであれば、どんどんやって欲しいと思いますが、安全性が充分確保されていないのであれば、ピラミッドやタワーのような危険な演目はやるべきではないと思います。

実際に、学生時代私も組み体操で、ピラミッドとタワーを経験しました。

経験者としても、これらの演目に関しては、結構な負担を感じたのを覚えています^^;

どちらの演目でも下から2段目の役割で、大変だと感じましたが、特に1番下の土台の同級生はもっと大変そうでした。

ピラミッドの1番下は、上の生徒の落下に耐えないといけないですし、タワーの時は、上段の重みを結構な時間耐えないといけないので、体にかかる負荷は大きかった事でしょう。

他にも、タワーの最上段の役割の生徒は、かなりの高さまで登らないといけないので、万一に備えて周りに先生が待機していましたが、上の生徒としては落下時の恐怖はあったはずです。

私の学校では、ピラミッドやタワーをする生徒は、比較的運動神経の良い生徒を選んでいましたが、それでも怪我をしない保証はどこにもないという状況でした^^;

 

組み体操を行って怪我が起きた場合の責任は誰にある?

さて、実際に事故が起きてしまった場合を想定してみると、難易度の高い組み体操の演目の練習中や本番中に、参加した生徒が怪我をしてしまった場合、誰が責任を取るのでしょうか?

責任をとる可能性があるのは、

・生徒本人(または保護者)

・学校側(教師、学校長)

・教育委員会

・各自治体(市町村)

等が挙げられます。

生徒本人としては、難易度が高い演目にチャレンジするという事で気持ちが盛り上がって、張り切る子も出てくるはずですし、本当はやりたくないと思っている子でも、拒否出来ない雰囲気になっているはずなので、参加せざるを得ないのが現実でしょう。

下記は、極論だともちろん思いますが、、、

『生徒自身が本当に嫌なら、ピラミッドやタワーをボイコットしてたはず。

それをしなかったから、主に生徒に責任がある。

学校側としては事故が、起きないよう最善の手を尽くしたので責任はない。』

なんて、神戸市長の苦言を軽視するような対応をする学校なら、生徒の自己責任論を主張してくる可能性もなきにしもあらずではないでしょうか^^;

怪我が起きてしまった場合に、生徒自身に責任を押しつけるわけにいかないので、大人が未然に事故を防止する役割があるといえます。

組み体操の実施に際しては、大人(学校側)が、十分な安全管理をするべきであり、事故が起こってからでは遅いという事を踏まえると、やはりピラミッドやタワーといった危険性の高い演目は控える必要があると言えます。

運動会にハラハラ、ドキドキ感は必要?

そもそも、運動会で危険性の高い演目実施に賛成の人達は、ハラハラ・ドキドキ感など、ある種のスリルを求めているのではないかと考えられます。

スポーツ観戦を例に挙げると、人はハラハラ・ドキドキの展開に心躍らせ、興奮して楽しみます。

例えば、ボクシングの試合だと、延長12ラウンドまでダラダラともつれて判定決着で終わる試合より、終始打ち合うような目が離せない展開の試合の方が面白く感じるはずです。

また、野球観戦をする場合でも、豪快なホームランを打つ選手が打席に立った時や、豪速球を投げる投手が投げている試合の方が、ワクワク・ドキドキして観戦するはずです。

組み体操のピラミッドや、タワー実施に賛成の人には、このようなスリルや興奮を、子供が行う組み体操にに求めているのではないでしょうか?

しかしながら、そのようなスリルや興奮を、子供の運動会に求めることは果たして妥当なのでしょうか?

運動会は、親が子供の成長を見て喜んだり、子供が友達と楽しく学校生活を送れているのか、を確認する側面があると思います。

なので、子供の運動会に、事故のリスクをおかしてまで、ピラミッドやタワー成功によるスリルや興奮を求める必要はないと言えます。

わざわざ危険性のある事をしなくても、クラス対抗リレーなどの演目で、一致団結する達成感や、連帯感といった経験を得るのは充分可能だと言えます。

今後、危険性のある組み体操はなくなる?

過去を振り返ってみると、現在のピラミッド・タワーの危険性についての議論のように『棒倒し』も危険性が高いという理由で、議論されました。

棒倒しに関しては、今では実施している学校を探す方が難しく、珍しいのですが、昔はどこの学校でも当たり前のように行っていました。

私が、中学・高校生になる頃には、地元の学校では、もう棒倒しは行われていませんでしたが、私の兄は棒倒しを経験した世代です。

当時の話しを聞くと、演目を楽しむというよりも、上級生が下級生に対して、ストレス発散する様子が多々見られたようで、

『自分は、棒倒しをしない時代に学校生活を送れて良かった、、』

と、ホッと胸をなでおろしたのを覚えています^^;

棒倒しの時のように、今後、危険性の高い組み体操の演目を取り入れる学校は、徐々に少なくなっていくと思われます。

子を持つ親としては、早めにそのような時代になって行って欲しいと願うばかりです。